Research Series01 意思決定はどこから始まるのか
Research Note #010
研究テーマ
意思決定開始モデル仮説
1. Research Question(研究課題)
住宅購入という人生最大級の意思決定は、どのような心理プロセスを経て始まるのか。
これまでのResearch Note #001〜#009で得られた知見を統合し、住宅購入意思決定が開始される構造をモデル化できるかを検証する。
2. Observation(観察事実)
Research Note #001〜#009の研究から、次のような共通点が確認された。
- 住宅購入は突然始まるものではない。
- 住宅購入の意思は、現状への不満から徐々に形成される。
- ライフイベントは住宅購入を意識するきっかけになる。
- 住宅購入を考えるタイミングは人によって異なる。
- 賃貸生活への不満が蓄積すると住宅購入意識が高まる。
- 将来への不安が住宅購入を後押しする場合がある。
- 家族構成の変化は住宅購入の優先順位を変える。
- 多くの人は住宅購入を一度以上先送りしている。
- 最終的には複数の要因が重なったとき、住宅購入を決意している。
これらは独立した出来事ではなく、一連の心理プロセスとして連続している可能性がある。
3. Surface Motivation(表面的欲求)
住宅購入者が語る理由として、
- 家族のため
- 子どものため
- 家賃がもったいない
- 将来が不安
- 自分の家が欲しい
- 老後に安心したい
などが確認される。
これらは住宅購入を考え始める直接的な理由として語られる。
4. Deep Insight(深層インサイト)
住宅購入意思決定の出発点は、
「家が欲しい」ではなく、「今の暮らしを変えたい」という心理である可能性がある。
住宅購入者は、
住宅を目的として考え始めるのではなく、
現在の生活に対する違和感や不足感を解消したいという欲求から意思決定を開始している可能性がある。
そのため、
住宅購入意思決定とは、
住宅選びではなく、
「未来の暮らしを選ぶ意思決定」である可能性がある。
5. Bias Analysis(認知バイアス分析)
現状維持バイアス(Status Quo Bias)
現状への不満があっても、
生活を変えることへの心理的抵抗が働き、
住宅購入意思決定を遅らせる可能性がある。
利用可能性ヒューリスティック(Availability Heuristic)
身近な友人や知人が住宅を購入した事例、
SNSや広告で住宅情報に触れる機会が増えることで、
住宅購入が現実的な選択肢として意識されやすくなる可能性がある。
将来割引(Present Bias)
住宅購入による将来の利益よりも、
現在の負担や手間を大きく評価し、
住宅購入を先送りする可能性がある。
6. Decision Stage(意思決定マップ上の位置)
Phase1 現状認識
本研究は、
住宅購入意思決定マップ全体の出発点となる
「現状認識」
を統合的に整理した研究である。
現状認識から欲求形成へ移行する心理構造をモデル化することを目的とする。
7. Decision Trigger(意思決定トリガー)
住宅購入意思決定開始モデルでは、
次の三つの条件が重なったとき、
意思決定が始まる可能性がある。
① 現状への不満が一定水準を超える
② 将来への期待が具体化する
③ 行動を起こすきっかけとなる出来事が発生する
この三要素が揃うことで、
住宅購入は「いつか」ではなく
「今考えるべきこと」
へ変化する可能性がある。
8. Decision Barrier(意思決定阻害要因)
意思決定開始を妨げる要因として、
- 現状への慣れ
- 将来への不安
- 情報不足
- 家族間の認識の違い
- 経済的負担への懸念
- 決断責任への恐怖
などが確認される。
これらが解消されない限り、
住宅購入意思決定は開始されにくい可能性がある。
9. Hypothesis(研究仮説)
住宅購入意思決定は、
次のプロセスによって開始される可能性がある。
現状への違和感
↓
将来への期待・不安の形成
↓
ライフイベントによる問題の顕在化
↓
住宅購入という選択肢の認識
↓
住宅購入を現実的な課題として受け止める
↓
住宅購入意思決定の開始
住宅購入意思決定は、
住宅会社との接触から始まるのではなく、
住宅購入者自身の生活変化から始まる可能性がある。
10. Practical Implication(実務への示唆)
本研究から、
住宅会社が住宅性能や価格だけを訴求するのではなく、
住宅購入者が現状にどのような違和感を抱き、
どのような未来を期待しているのかを理解することが重要である可能性が示唆される。
また、
住宅購入意思決定が始まる以前の心理状態を理解することで、
広告、ホームページ、SNS、見学会などの初期接点における情報設計の精度向上につながる可能性がある。
今後の共同研究では、
この意思決定開始モデルが住宅購入者全体に共通する構造であるかを継続的に検証する必要がある。
11. Next Research Question(次回研究課題)
住宅購入意思決定が始まった後、
住宅購入者はどのような欲求を形成していくのか。
表面的欲求と深層インサイトの関係を明らかにする。
(Research Series02「欲求形成(Insight)」へ)
本Research Noteについて
本Research Noteは、住宅購入者の意思決定を理解することを目的とした研究資料です。
記載内容は、インタビュー、観察、既存研究、心理学、行動経済学等を参考に構築した研究仮説であり、今後の共同研究を通じて継続的に検証・更新されます。
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私たちは住宅を研究しているのではありません。
営業を研究しているのでもありません。
住宅購入者の意思決定を研究し、その成果を営業導線へ実装することで、契約率改善につなげる研究機関です。
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