Research Series 02
なぜ人は高額講座を購入しないのか?
Note #020 非購入者モデル仮説
1. Research Question(研究課題)
これまでのResearch Series 02(Note #011〜#019)の観察結果を統合すると、人はどのような構造で「購入しない」という意思決定を行っているのか。
DIB Lab独自の非購入意思決定モデルを提唱する。
2. Observation(観察事実)
Research Series 02では、
- 購入を見送った人の本音
- 深層欲求
- 現状維持バイアス
- 失敗回避心理
- タイミング問題
- 家族の影響
- 自己投資への不安
- 過去の失敗経験
- 非購入者の意思決定プロセス
について観察を行った。
その結果、
購入しない理由は一つではなく、
複数の心理要因が段階的に積み重なることで、非購入という意思決定が形成される
ことが確認された。
3. Surface Motivation(表面的欲求)
非購入者が最終的に語る理由は、
- 今はタイミングではない
- お金がない
- 家族と相談したい
- もう少し考えたい
- 自信がない
などである。
しかし、これらは最終的に本人が説明する理由であり、
意思決定の本質ではない。
4. Deep Insight(深層インサイト)
Research Series 02全体から見えてきた最も重要な発見は、
人は商品を拒否して購入しないのではない。
「購入することによって起こる未来」を拒否している。
ということである。
その未来には、
- 失敗する自分
- お金を失う自分
- 家族へ説明する自分
- 成果が出ない自分
- また傷つく自分
が存在している。
つまり、
非購入とは、
未来のリスクから現在の自分を守る意思決定
なのである。
5. Bias Analysis(認知バイアス分析)
Series02で確認された認知バイアスは、
- 現状維持バイアス
- 損失回避バイアス
- 先延ばしバイアス
- 曖昧性回避バイアス
- 利用可能性ヒューリスティック
- 責任転嫁バイアス
である。
これらは独立して存在するのではなく、
相互に作用しながら一つの「非購入構造」を形成している。
6. Decision Trigger(意思決定トリガー)
Research Series 02を通じて確認された、
最終的な非購入トリガーは、
「購入する安心感」より、「購入しない安心感」が上回った瞬間
である。
つまり、
購入判断は、
商品価値ではなく、
安心感の比較
によって決定されている可能性が高い。
7. Purchase Barrier(購買障壁)
Series02で明らかになった障壁は、
- 自己効力感不足
- 現状維持心理
- 失敗回避心理
- タイミングの先送り
- 家族への配慮
- 自己投資への不安
- 過去の失敗経験
- 複数バイアスの連鎖
これらは一つずつ存在するのではなく、
心理的防衛システム
として機能していると考えられる。
8. Decision Map(意思決定マップ)
DIB Non-Purchase Decision Model Version 1.0
商品を知る
↓
興味・期待が生まれる
↓
「自分にもできるか」を評価する
↓
未来への期待と不安が同時に生まれる
↓
認知バイアスが働く
(現状維持・損失回避・先延ばし等)
↓
過去の失敗経験や家族・周囲を想起する
↓
購入しない理由が積み重なる
↓
「今はやめておこう」が合理化される
↓
購入しない安心感を選択
↓
非購入
9. Hypothesis(研究仮説)
DIB Labでは、
Research Series 02の研究成果として、
DIB Non-Purchase Decision Model Version 1.0
を提唱する。
本モデルでは、
人の非購入は、
商品評価によって決まるのではなく、
「期待」と「心理的防衛」のバランスによって決まる
と仮説づける。
期待よりも、
安心・安全・現状維持・自己防衛が優勢になった時、
人は購入しないという意思決定を行う。
10. Practical Implication(実務への示唆)
本モデルから導かれる実務上の示唆は、
販売活動を、
商品の説明
から、
心理的防衛を解除する設計
へ転換することである。
具体的には、
- 商品価値を説明する
- 自己効力感を高める
- 失敗リスクを具体的に下げる
- 現状維持コストを可視化する
- 過去の失敗経験を書き換える
- 家族への説明材料を提供する
- 「今行動する理由」を明確にする
という流れで設計することで、
非購入要因を段階的に解消できる可能性がある。
DIB Labでは、このモデルを企業の商品設計、マーケティング、販売導線設計、セールスコミュニケーションの分析フレームワークとして活用することを提案する。
11. Next Research Question(次回研究課題)
Research Series 01では、
「なぜ人は高額講座を購入するのか」
を研究した。
Research Series 02では、
「なぜ人は高額講座を購入しないのか」
を研究した。
ここまでで、
「買う」「買わない」の両側面は明らかになった。
しかし、人は購入を検討するとき、
必ず何かと比較を行っている。
価格なのか。
講師なのか。
実績なのか。
将来の自分なのか。
次回から始まる Research Series 03 では、
「なぜ人は比較するのか」ではなく、「人は何を比較して意思決定しているのか」
という問いを起点に、比較意思決定の構造を研究する。
